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PCBフィデューシャル:形状・配置・パネル設計ガイド

PCBのフィデューシャルマークは、はんだ印刷機、部品実装機、検査装置が機械の座標系と実際の基板を対応付けるための、単純な光学基準です。通常は円形の露出銅箔と、その周囲のコントラストを確保する空白領域で構成します。カメラがマークを認識して登録座標と比較し、位置と回転を補正します。対応する設備では、小さな倍率差やひずみも補正できます。

小さなマークですが、CADデータと実際の製造をつなぐ重要な要素です。コントラスト不足、形状のばらつき、識別しにくい配置があると、十分な性能の実装ラインでも位置合わせの問題が繰り返されます。この記事では、リリース前に実装業者と合意すべき設計事項を解説します。

フィデューシャルの役割#

自動ラインでは、毎回まったく同じ位置に基板が入るとは限りません。搬送公差、パネル治具、印刷設定、基板製造のばらつきにより小さなずれが生じます。画像認識ソフトウェアは既知のマーク座標を使い、印刷、実装、AOIの前に機械座標と基板座標を対応付けます。

一つのマークで原点や局所的な位置ずれを求められます。離れた二つのマークなら回転も識別できます。同一直線上にない三つのマークは、設備と工程が対応する場合に、倍率、伸び、ゆがみ、基板とプログラムの不一致を確認する強い基準になります。認識方法は機械に依存するため、実装先が文書化した工程能力を設計条件に含める必要があります。

パネル・基板全体・局所のマーク#

種類基準となる領域一般的な用途
パネル用マーク製造パネル全体個片化前のパネルを印刷・実装・検査の位置に合わせる。
基板全体のマーク一つの基板個別の基板を認識し、全体の位置と回転を補正する。
局所マーク一つの狭ピッチ・エリアアレイ部品の周辺ピッチや形状のため位置ずれの余裕が小さい箇所で、局所的な位置合わせを改善する。

一つのパネルに、パネル用と基板用の両方を置くこともあります。前者は集合体全体を認識し、後者は必要に応じて各基板を補正します。すべてのBGAや狭ピッチ部品に局所マークが必須というわけではありません。現代の設備は適切な全体マークだけで必要精度を得られる場合がありますが、実装先、部品の適用指針、工程能力が要求する場合には局所マークが有効です。

初期設計の目安は、直径約1 mmの穴のない円形銅箔パッドをレジストから露出させ、周囲を空ける形です。1 mmのマークに2 mmのレジスト開口はよく使われますが、実装先の仕様に代わる普遍的な寸法ではありません。IPC-7351には基板全体・パネル・局所のマークや、寸法とクリアランスの図があり、工場の設備ルールと併せて参照します。

認識しやすいマークは、意図的に単純にします。

  • ロゴ、十字、ビア、文字ではなく真円にする。
  • 穴のない、ベタの露出銅箔にする。
  • 均一なレジスト開口で明瞭なコントラストを作る。
  • 周囲の禁止領域にシルク、配線、パッド、テストポイント、文字を置かない。
  • 同じ位置合わせ工程で使うマークは、寸法・表面処理・構造をそろえる。

マークをレジストで覆わないでください。また、フィデューシャルと位置決め穴は別物です。前者は光学的な基準、後者はパネルや治具を機械的に位置決めする穴であり、それぞれ異なる誤差を管理します。

表面処理と光学コントラスト#

フィデューシャルには通常、基板の他の露出パッドと同じ表面処理を施します。ENIG、置換銀、置換錫、OSP、HASLでは、カメラに映る明るさ、平坦性、反射が異なります。特別に光沢を強くすることより、一貫性が重要です。不均一な析出、汚れ、マーク上のはんだは、検出中心をずらしたり認識を不安定にしたりします。

周囲には認識を妨げる形状を置きません。暗いレジストでは露出金属とのコントラストを得やすい一方、明るい面や反射の強い面では認識設定の調整が必要な場合があります。標準外の表面処理やレジストを使う場合は、既定のライブラリで認識できると考えず、代表サンプルを送るか、マーク設計を実装先に確認してください。

基板にはいくつ必要か#

一般的な長方形基板では、同一直線上にない三つの全体マークが堅実な出発点です。十分に離れた二つで位置と回転を求め、三つ目で冗長性と追加の幾何チェックを確保します。限定した手作業や機械工程なら一つで足りる場合もありますが、一つだけで全ての位置合わせ誤差を識別することはできません。

マーク間隔は可能な範囲で広く取ります。基線が長いほど、中心検出の小さな誤差が角度測定へ与える影響を抑えられるためです。三つを一直線に並べないでください。非対称にすると、基板を180度回転させても同じ配置に見える誤認も防ぎやすくなります。

配置の指針#

  1. 処理する面に設ける:両面実装では、印刷・実装する各面に適切なマークを用意します。
  2. 基板全体に分散させる:別々の角付近に置き、端面の保持、レール、クランプ、部品禁止領域も考慮します。
  3. 一直線と対称配置を避ける:三つのマークは直線や反転を見分けにくい配置ではなく、明確な三角形にします。
  4. 同じ剛性基準に置く:重要なマークを、曲がるタブ、折取り接続部、実装領域に対して反りやすい部分にまたがって配置しません。
  5. カメラの視野を守る:そのマークを使う工程で、高い部品、ラベル、接着剤、パレット、治具が覆ったり影を作ったりしないようにします。
  6. 周囲を整理する:近くのパッド、銅箔形状、シルクがマークの一部として認識されたり、輪郭のコントラストを下げたりしないようにします。

集合基板では、パネライズ全体の方針として、捨て基板、折取りタブ、Vカット、搬送支持、マークを一緒に設計してください。完璧なマークでも、後工程の前に切り落とすレールにあれば、その工程では使えません。

狭ピッチ部品用の局所マーク#

局所マークは精度要求の厳しい部品の近くに置き、その部分の基板伸縮や位置ずれを補正するために使います。部品ピッチ、パッケージサイズ、実証された実装精度に対して余裕が少ない場合に有効です。エリアアレイ、狭ピッチQFP、高密度コネクタなどが候補になります。

その場所で位置と回転の両方を補正するなら、実装先が別の方法を指定しない限り、離れた二つ以上の局所基準を使います。クリアランスがペースト開口、引出し配線、検査アクセスと干渉するほど、フットプリントに近づけないでください。場所が足りない場合は不適切なマークを押し込まず、全体マークと設備の部品センタリングで必要精度を得られるか相談します。

CADライブラリでの管理#

フィデューシャルは即席の銅箔円ではなく、管理されたフットプリントとして扱います。ライブラリには次を含めてください。

  • 銅箔マークの直径。
  • レジスト開口と明示したクリアランス。
  • 実装レイヤーでの識別。
  • EDAツールに適した部品・機械要素の分類。
  • 他の要素が侵入しないコートヤードまたは配置禁止領域。
  • FID1、FID2、FID3などの分かりやすい識別名。

BOMの購買数量や通常の実装数量からは除外します。ただし、実装先の取込み工程でマーク情報を必要とするなら、部品座標データには残してください。回路図シンボルだけでなく、リリースする製造レイヤーに意図した銅箔とレジストの形状が必要です。

パネル用マークと面付けデータ#

集合体で供給する場合、パネル用マークは自動工程中に使える安定したレールやパネル領域に置きます。実装図ではパネル、基板、局所マークを区別します。座標の原点、単位、回転の規則を文書化し、どのマークがどの基板に属するかを工場側が推測しなくて済むようにしてください。

基板メーカーが製造パネルを作る場合は、基板単位の設計意図を伝え、レール形状は基板メーカーと実装先で調整します。製造用パネルがそのまま実装向けとは限りません。実装用レールには、マーク、位置決め穴、クーポン、支持部の余裕、搬送に十分な幅が必要な場合があります。

よくある設計ミス#

ミス問題になる理由改善方法
めっき穴をマークにする穴、めっき、環状銅箔が複数の輪郭を作り、中心検出が不安定になる。穴のない銅箔の円を使う。
マークの一部をレジストで覆う検出輪郭がずれたりコントラストがなくなったりする。同心のレジスト開口を明示する。
禁止領域にシルクや銅箔を置くカメラが別の形状を認識する可能性がある。DRCと図面で光学的な空白領域を確保する。
三つのマークを一直線に並べる幾何補正と向きの確認が弱くなる。広く離した三角配置にする。
片面にしかマークがない裏面の印刷・実装に同等の基準がなくなる。自動処理する各面にマークを設ける。
治具やラベルで隠れるCADには存在してもカメラから見えない。全工程の順序と治具の占有範囲を確認する。
座標が欠落・曖昧設定が手作業になり、誤りやすくなる。座標、図面、パネルデータを整合させてリリースする。

すべての基板に必要か#

どの基板も同じマーク構成が必要なわけではありません。大きなスルーホール部品を手実装する試作なら、光学マークが不要なこともあります。対応するソフトウェアと工程を検証した現代の実装機では、基板形状、パッド、パネル基準を使える場合もあります。一方、狭ピッチ部品を載せる高密度な量産基板では、明確で再現性のあるマークが通常は有利です。

実装精度、基板寸法、面付け、部品ピッチ、数量、実設備で判断してください。数平方mmを節約するためにマークをなくすと、設定時間、工程余裕の低下、検査不良として別のコストが発生することがあります。

設計レビューのチェックリスト#

  1. 実装先が推奨するマーク径、レジスト開口、クリアランスを確認する。
  2. 必要な自動工程と各面に、基板全体またはパネルの基準を用意する。
  3. 同一直線上にない非対称配置で、実用上できるだけ広く離す。
  4. レール、クランプ、パレット、ラベル、部品がカメラを遮らないか確認する。
  5. パッケージや工程能力から必要と判断した場合に局所マークを追加する。
  6. CAD表示だけでなく、最終GerberまたはIPC-2581で銅箔とレジストの出力を確認する。
  7. 実装図と座標ファイルで、マーク名と座標を統一する。
  8. 初品で寸法、表面処理、汚れ、認識の安定性を確認する。

最終リリースはオンラインGerberビューアーで確認し、製造先のDFMレビューでも確かめます。フィデューシャルは、ステンシル開口、部品の向き、リフロープロファイルと同様、実装工程計画の一部です。

一次資料#

よくあるご質問#

PCBのフィデューシャルマークとは?

自動設備が実際の基板と登録座標を合わせるための光学基準です。通常は周囲を空けた円形の露出銅箔を使います。

どの大きさにすればよいですか?

銅箔径1 mm、レジスト開口約2 mmが一般的な初期値ですが、正しい寸法は実装先で検証された設備仕様と適用設計規格で決まります。

マークはいくつ必要ですか?

広く離し、同一直線上にない三つの全体マークが堅実な一般設計です。工程によっては二つまたは一つで対応し、高精度な局所実装には追加する場合もあります。実装先に認識方法を確認してください。

レジストで覆ってよいですか?

通常は覆いません。銅箔より大きな同心の開口から露出させ、明確な光学境界を作ります。

両面に必要ですか?

両面を自動印刷・実装・検査する場合は、それぞれの処理面に、各工程に適した見える基準が必要です。

位置決め穴と同じものですか?

違います。位置決め穴はパネルや治具を機械的に定位し、フィデューシャルは画像認識で座標を合わせます。製造パネルには両方が必要な場合があります。