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スルーホール実装ガイド:工程、SMTとの違いと品質確認

スルーホール実装とは?

スルーホール技術(THT)は、部品のリードをPCBに加工した穴へ挿入し、反対面のパッドにはんだ付けして取り付ける方式です。SMTより前から使われ、1980年代までは代表的な実装方法でした。現在は量産でSMTが主流ですが、機械的な固定や長期使用を重視する設計ではTHTも重要です。


スルーホール技術の歴史

THTは民生電子機器が広まる1950年代に発展しました。初期のPCBでは、部品を手で挿入し、手はんだで接合していました。1970年代にアキシャル部品の自動挿入機やフローはんだ付けが普及し、生産が効率化されました。小型機器の大量生産では後にSMTが中心となりましたが、航空宇宙、自動車、産業機械などでは今もスルーホール部品が使われています。


スルーホール部品の構造と特徴

スルーホール部品は、PCBの穴に挿入するリードを備えています。代表例は次のとおりです。

  • 受動部品: アキシャルリードやラジアルリードを持つ抵抗、コンデンサー、インダクター。

  • コネクター・ピンヘッダー: 基板間やケーブルとの接続に使います。

  • 電気機械部品: リレー、スイッチ、トランス。

  • 電力用デバイス: 電圧レギュレーターや、ヒートシンクを取り付ける半導体。

一般にSMDより大きく、リードによる固定が機械的負荷や温度変化への対応に役立ちます。


スルーホール実装の工程

スルーホール実装では、寸法精度と確実な接合が重要です。主な工程を順に説明します。

1. PCB設計と穴加工

  • 穴加工: 部品のリード寸法に基づいてPCBに穴を加工します。

  • めっきスルーホール(PTH): 穴壁の銅めっきが層間の電気接続を形成します。

確認する理由: 適切な仕上がり穴径と公差により、過剰な隙間を作らずにリードを挿入できます。リード寸法、めっきによる寸法変化、許容穴径公差を製造会社と確認してください。

2. 部品の挿入

  • 手挿入: 試作や小ロットで使われます。

  • 自動挿入: アキシャル部品やラジアル部品に対応する挿入機で高速に搭載します。

確認する理由: 自動挿入は手作業のばらつきを減らせますが、特殊部品や小ロットでは手挿入も有効です。対象基板で使う方法を確認しましょう。

3. はんだ付け

  • フローはんだ付け: PCBを溶融はんだの噴流に通し、穴にはんだを行き渡らせて接合します。

  • 選択はんだ付け: SMTとTHTの混載基板などで、ノズルを使って必要なスルーホール部だけをはんだ付けします。

  • 手はんだ付け: 修正作業や取り扱いに配慮が必要な部品に用います。

確認する理由: 適切な工程は、ぬれ不足やブリッジの防止に役立ちます。フラックス、予熱、はんだ接触、取り扱いを管理してください。雰囲気や装置だけで無欠陥接合が保証されるわけではありません。

4. 検査と試験

  • 目視検査: はんだ不良や部品の位置ずれを確認します。

  • 自動光学検査(AOI): 装置の検査範囲内で、見える実装状態やはんだの特徴を確認します。穴の内部すべてが十分にぬれていることまで証明するものではありません。

  • インサーキットテスト(ICT): 治具でアクセスできる箇所と試験プログラムに応じて、選択した回路ノードや部品特性を検査します。製品全体の機能試験の代わりにはなりません。

確認する理由: 実際の実装品に対する検査、電気試験、合否基準を指定します。IPCクラスは製品について合意する必要があり、AOIやX線検査を選ぶだけで適合が決まるわけではありません。


スルーホール技術の利点

  1. 機械的な固定: リードによる強固な固定は、コネクターや重量部品で役立ちます。ただし、振動・衝撃性能は製品ごとの設計と検証が必要です。

  2. 試作のしやすさ: 開発中の手作業による調整や部品交換が容易です。

  3. 熱設計: 太いリードや外付けヒートシンクを使えるパッケージもあります。実際の放熱性能は、パッケージと冷却経路全体によって決まります。

  4. 高電力への対応: 適切な部品を選ぶことで、高電圧・大電流回路に使用できます。


課題と制約

  • サイズ: 一般にSMDよりも広い基板面積が必要です。

  • 製造時間: 穴加工と部品挿入の工程が加わります。

  • 費用: 複雑な設計では作業や材料の費用が増えます。

PCBPitへの相談事項: 部品表、数量、挿入条件、試験計画を提示し、実装方法、技術変更、見積もり範囲をプロジェクトチームに確認してください。


スルーホール技術の用途

要求の厳しい環境でも、用途に応じてTHTが使われます。

  • 産業機器: モーター制御装置、電源。

  • 航空宇宙・防衛: アビオニクス、レーダー装置。

  • 自動車: エンジン制御ユニット(ECU)、LED照明。

  • 医療機器: MRI装置、患者モニター。

これらの用途では、必要なコーティング、機械的保護、合否基準をPCBPitと相談してください。すべてのサービスや認定が含まれると考えず、対象案件への適用を確認しましょう。


スルーホールとSMTの選び方

比較項目 スルーホール SMT
サイズ 比較的大きな部品 小型・高密度
耐久性 強固な機械的固定が可能 パッケージ、取り付け、製品設計による
費用 大量生産では高くなりやすい 大量生産で単価を抑えやすい
用途 高電力、厳しい使用環境 民生電子機器

混載という選択肢: 多くの基板でTHTとSMTを併用します。設計リリース前に、工程順序、はんだの適合性、検査要件をPCBPitと確認してください。


スルーホール実装の品質管理

  • IPC-A-610: はんだ接合などの受け入れ基準を定めます。

  • 熱ストレス試験: 規定した温度サイクルで実装品を評価します。試験条件と合否基準は製品に合わせる必要があります。

  • 断面解析: PTHの銅めっきの状態を調べます。

必要な認証は、発行機関、対象範囲、有効期限、対象拠点を確認してください。ロゴや具体性のない試験設備の説明だけで、個別注文があらゆる規格を満たすと判断してはいけません。


スルーホール実装でPCBPitに確認すること

  1. 経験: 類似の部品、製造数量、信頼性要件を扱った経験を確認します。

  2. 工程: 対象基板に使用する挿入、はんだ付け、検査の方法を確認します。

  3. 支援範囲: 必要なDFMレビュー、部品調達、試験の範囲を定義します。

  4. 量産移行: 試作品の合否基準と、製造量を増やす前に必要な管理を合意します。

  5. 業界要件: 用途固有の文書、トレーサビリティ、適合性評価の義務を明確にします。

産業用制御基板でも混載設計でも、実製品で重要になる要件をPCBPitへ提示してください。


スルーホール技術の今後

部品選定や機械的インターフェースの要件に合う場合、スルーホール技術は引き続き有効です。新しい技術だからという理由だけで選ばず、PCBPitなどの製造パートナーと、利用可能な部品や実装方法を検討してください。


まとめ

スルーホール技術は、機械的接続、パッケージの選択肢、試作の扱いやすさを必要とする用途で重要です。信頼性は実装方式だけでなく、設計、材料、工程管理、検証の結果です。実装を発注する際は、これらの要件をPCBPitと確認しましょう。

スルーホール実装の見積もりには、設計データ、BOM、数量、合否要件を用意し、PCBPitへ案件の範囲をご相談ください。

2026年版の確認事項#

本ガイドは2026年に技術説明と製造上の確認事項を見直しました。掲載寸法や工程範囲は、製造先の最新能力と製品の合否基準に結び付いている場合を除き、計画時の参考として扱ってください。

生産前にスルーホール実装の重要要件を版管理された設計資料に記載し、製造会社と確認してください。完成品は実際の電気的、熱的、機械的、環境的負荷で検証します。