← PCBの基礎・技術PCBの基礎・技術

PCBの座ぐりと皿もみ:ねじ穴設計ガイド

PCBの取付穴は通常、板厚全体を貫く円筒形の穴です。ただし、ねじ頭を基板表面と同じ高さ、またはそれより低く収めたい製品もあります。そのために使う関連加工が、平底の座ぐりと円すい状の皿もみです。

図面では似て見えても、対応するねじと必要な加工情報は異なります。本ガイドでは違い、メーカーに伝える寸法、積層材の破損や銅の露出、ねじの不適合を防ぐ設計確認を解説します。

座ぐりと皿もみの違い#

座ぐり(counterbore)は、底が平らな大径の円筒状くぼみです。六角穴付きボルトなど、頭の下に平らな座面を持つねじに使います。

皿もみ(countersink)は円すい状のくぼみです。指定した角度と一致する皿ねじを受けます。寸法が適切なら、頭を基板表面と同じ高さに収められます。

項目座ぐり皿もみ
くぼみの形状円筒形・平底円すい形
代表的なねじ六角穴付きなど平らな座面のねじ皿ねじ
重要寸法穴径、座ぐり径、深さ穴径、開口径または深さ、頂角
主なリスク底部に残る積層材が薄すぎる角度・深さの不一致で頭が出る、または沈みすぎる

PCBの座ぐりとは?#

小径の貫通穴と同軸に、片面から大径のくぼみを加工します。工具によって垂直な壁とほぼ平らな肩部が形成され、ねじ頭は基板の最外面ではなく、その肩部で支持されます。

基板上の筐体クリアランスが小さい場合や、頭の位置を決めたくぼみに収めたい場合に便利です。特定のスペーサやインサートの位置決めにも使えますが、公差をメーカーと合意していない限り、精密な支持・位置決め面とは扱わないでください。

図面には次を記載します。

  • 中央取付穴の仕上がり径。
  • 座ぐり径。
  • 指定した基板面からの座ぐり深さ。
  • 中央穴のめっき有無。
  • 径と深さの公差。
  • 個数と正確な位置。

PCBの皿もみとは?#

皿もみは穴の入口を円すい状に広げ、皿ねじの頭の下面を受ける加工です。頂角は設計の一部です。ねじの規格によって角度が異なるため、基板側の形状を決める前にねじを選びます。

通常、メーカーには貫通穴の仕上がり径、皿もみの開口径または深さ、頂角、加工面、めっき有無、公差が必要です。「M3ねじ用皿もみ」だけでは、ねじ規格、頭部寸法、仕上げ、沈み具合を特定できません。

浅すぎると頭が表面から出ます。深すぎると支持面積が減り、外層の銅クリアランスを削ったり、穴周辺の積層材を薄くしすぎたりします。

PCBで加工が難しくなる理由#

PCBは均一な金属板ではなく積層複合材です。銅箔、ガラス繊維強化樹脂、めっき穴、レジスト、内層プレーンが加工に関係します。積層後の切削はガラス繊維の露出、銅の切断、局所応力を生むことがあります。

最初の制約は板厚です。くぼみの下には、構造上十分な積層材を残す必要があります。薄い基板では目的のねじ頭を支持できない場合があります。負荷が大きい場合は、ワッシャ、スペーサ、筐体ボス、締付トルク、振動を含む締結全体を機械的に検討します。

銅のクリアランスも重要です。外層だけでなく全銅層を、最大加工範囲と位置合わせ・ルータ加工公差から離します。表面では銅がなくても、くぼみが内層グランドを削る可能性があります。

めっき穴か非めっき穴か#

取付穴は、特にねじを電気的に絶縁したい場合、非めっき貫通穴(NPTH)として指定することがよくあります。筐体接続を接地に使う場合は意図的にめっき穴にしますが、電気・機械の要求を文書化する必要があります。

座ぐりや皿もみの面までめっきされるとは限りません。これらは二次加工であることが多く、工程順によって銅や表面処理が付く面が変わります。導通、露出銅の保護、筐体接地に関係する場合は、穴記号だけで判断せず実現できる構造をメーカーと確認します。

一般的な取付穴はPCB取付穴のガイドで解説しています。

加工寸法を正しく指定する#

実際のねじ図面から始めます。呼び径だけでなく、最大頭径、最大頭高、頭下面の形状を使います。完全に沈めるのか、面一にするのか、隣の部品に干渉しなければよいのかを決めてください。

専用の製造注記または管理された機械図面に、次を示します。

  1. 加工種類:座ぐりまたは皿もみ。
  2. 仕上がり貫通穴径と公差。
  3. くぼみの最大径と公差。
  4. 座ぐりの深さ、または皿もみの頂角と深さ・開口径。
  5. 加工面:上面、下面、または両面。
  6. PTHまたはNPTHの指定。
  7. 個数と基準位置。
  8. 必要に応じて残り板厚などの重要な機械的制限。

ODB++やIPC-2581は詳細な穴属性を伝えられ、一部の設計ツールは座ぐり・皿もみを直接定義できます。それでも加工面、深さ、受入条件を明確にするため、人が読める図面は有用です。

座ぐり・皿もみのDFMチェック#

  • 対応能力を早期確認:特殊な機械加工であり、価格や納期に影響します。
  • 残り板厚を確認:座ぐりの底を極端に薄くしないでください。
  • 全層の銅を避ける:最大加工径と製造公差から禁止領域を決めます。
  • 基板端から離す:材料が少ないと加工や締付けで割れる場合があります。
  • 周辺の配線・部品を確認:ねじ頭、工具のアクセス、ワッシャ、スペーサを機械モデルに含めます。
  • トルクを管理:局所荷重が大きすぎるとFR-4が圧壊・層間剥離することがあります。
  • 加工面を指定:反対面への加工は意図した形状の代わりになりません。
  • 曖昧なデータを避ける:重なったドリル穴だけでくぼみを表現しないでください。

採用を避けるべき場合#

薄い基板、大きな荷重、頻繁な保守がある場合には別の方法が適することがあります。スペーサ、筐体側のくぼみ、肩付きワッシャ、固定インサート、別のねじ頭を使えば、積層材への負荷を減らせます。

銅クリアランスを侵す、ルータ加工端に近すぎる、経済的に維持できない深さ公差が必要な場合も再設計を検討します。標準穴を使い、精度と強度を筐体側で確保する締結が、通常はリスクを抑えやすい方法です。

設計の要点#

先にねじを選び、管理された寸法に合わせて基板形状を作ります。平らな座面には座ぐり、円すい状の皿ねじには皿もみを使います。形状、加工面、めっき有無、公差をすべて指定し、製造前に残り板厚と銅クリアランスをメーカーに確認してもらいます。

特殊穴、端面加工、厳しい筐体条件がある場合は、製造レビューと見積もりの依頼時にPCBデータと機械図面を一緒に送ってください。

座ぐり・皿もみのFAQ#

六角穴付きボルトに皿もみを使えますか?

通常は適しません。平らな座面を持つ頭には座ぐりが合います。皿もみは円すい状の下面を持つ皿ねじ用です。

くぼみにめっきできますか?

中央穴はめっき・非めっきのどちらもありますが、くぼみ面は工程順とメーカーの対応に依存します。電気要求を指定して確認してください。

ドリルデータに含める必要がありますか?

対応する製造データに表し、図面や製造注記でも明示します。曖昧な図形層だけに頼らないでください。

皿もみの角度は何度にしますか?

選定したねじ規格と実物の図面にある頂角を使います。すべての皿ねじが同じ角度とは限りません。

技術資料#

設計ツールで扱う属性と必要寸法はAltiumの座ぐり・皿もみ資料を参照してください。リジッド基板の一般設計要求はIPC-2220設計規格群で扱われます。