基板の取付穴とは#
取付穴は、プリント基板をシャーシや筐体に固定するための貫通穴です。通常は基板上の他の穴より大きく、四隅など、支持が必要な位置に配置します。完成品の中で基板を安定して保持するための重要な要素です。
取付穴の種類#
取付穴には、大きく分けてめっきありとめっきなしの2種類があります。
- めっきありの取付穴:穴壁に導体を形成し、基板の層間接続にも使用します。例えば、表層の接地用パッドを内層のグランドプレーンにつなぐ場合です。ねじや固定金具による取付部としての機械的な設計も必要です。
- めっきなしの取付穴:主に機械的な固定に使用し、部品や配線から電気的に絶縁します。回路や金具との干渉を避けるため、必要なキープアウトを設けます。
取付穴の周囲に設けるビア#
取付穴の周囲に小さなビアを配置することがあります。その目的として、次の点が挙げられます。
- 接続構造を広い範囲に設け、機械的な荷重や振動による損傷を抑えるための補強を支えます。
- 層間のグランドを接続します。高周波回路やノイズに敏感な回路では、EMIやノイズ対策の一部になります。
- 銅プレーンやヒートシンクと取付部の間に熱経路を作り、基板からの放熱を助けます。
基板設計で重要な理由#
取付穴は、機械的な固定だけでなく電気的な接続にも関わります。安定した支持、回路の動作、筐体との整合を確保するため、位置と穴の種類を設計段階で検討することが大切です。
設計時の確認事項#
- 寸法と位置:穴径と配置を、完成品の機械的な要求に合わせます。
- 電気接続:めっき穴は、必要な接続を確保しつつ、短絡や不要な結合が生じないように設計します。
- 放熱:高出力用途では、取付穴周辺のビアが熱経路に与える影響も確認します。
まとめ#
取付穴は見落とされがちですが、基板の機械的安定性、電気的な機能、放熱を支える要素です。適切な設計と実装が、製品の性能と長期信頼性につながります。
取付穴の設計チェックリスト#
取付穴は筐体との公差の積み重ねに含まれます。仕上がり穴径、めっきの有無、銅との関係、位置公差は、汎用フットプリントをそのまま使うのではなく、ねじ、ボス、ワッシャー、組立方法から決めてください。
- めっきあり・めっきなしを、必要な機能に応じて選びます。
- 仕上がり穴径を指定し、公差は組立に必要な範囲に設定します。
- 絶縁が必要な場合は、すべての層に銅のキープアウトを設けます。
- ねじ頭とワッシャーが周辺部品に干渉しないか確認します。
- 外形加工公差、基板端の位置、筐体との位置合わせを考慮します。
- 締付荷重が大きすぎて積層材をつぶしたり、基板を曲げたりしないようにします。
よくあるご質問#
取付穴はグランドにつなぐべきですか?
シャーシとEMCの設計で必要な場合に限ります。接地しためっき穴と、絶縁した非めっき穴(NPTH)では電気的な役割が異なります。
ねじの通し穴はどのくらいの径にしますか?
ねじの規格に加え、位置、表面処理、組立の公差を考慮します。ねじの呼び径だけで決めることはできません。
NPTHにも銅のキープアウトは必要ですか?
固定金具を絶縁する必要がある場合や、加工上、穴の周囲にクリアランスが必要な場合には設けます。