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PCBの穴径:仕上がり寸法、工具径と公差の指定方法

CADでは、穴径を選び、穴を配置してドリルファイルを出力するだけに見えるPCBの穴仕様も、製造では複数の意味を持ちます。その数値は仕上がり穴径でしょうか、それとも工具径でしょうか。めっきする穴なのか、銅によって開口がどれだけ小さくなるのか、許容差はいくつなのか。層の位置合わせや穴加工のばらつきを含めても、必要なアニュラリングが残るかも重要です。

こうした点は、ビア、部品リード、プレスフィットコネクター、取付金具、位置決めピン、長穴、深さを管理する加工に影響します。本ガイドでは、製造会社がドリルデータをどう解釈するかと、不要な費用をかけず確実に組み立てられる穴の指定方法を解説します。

PCBの穴の種類と寸法の意味#

穴の種類めっきの有無主な用途重要な仕様
貫通ビアあり層間の電気接続仕上がり穴径、アニュラリング、めっき
部品用PTHありリードの挿入とはんだ付け仕上がり穴径とリードの隙間
NPTH取付穴なし機械的固定・位置合わせ仕上がり径と位置公差
めっき長穴あり板状端子や機械・電気接続部仕上がり幅・長さ・半径、めっき
非めっき長穴・切り抜きなし機械部品の逃げ仕上がり形状とルーター加工公差
ブラインドビア・埋め込みビアあり指定した層間の接続仕上がり形状、アスペクト比、層構成

仕上がり穴径とドリル工具径の違い#

仕上がり穴径は、納品されたPCBに求める開口寸法です。製造工具径は、その後の工程に進む前に使うドリルの直径を指します。めっき穴では、デスミアなどの前処理後に無電解銅、電解銅、場合によっては最終表面処理が形成されて開口が小さくなるため、製造会社は大きめの工具を使います。

非めっき貫通穴には銅めっきの穴壁がないため、工具径と要求する仕上がり径は比較的近くなります。それでも工具寸法、摩耗、材料、加工に伴う公差があります。CADの公称値と完全に一致すると考えず、現実的な仕上がり公差を指定してください。

Eurocircuitsの公開ドリル設計ルールは、この区別を説明しています。同社のCAMシステムは顧客の工具一覧を仕上がり寸法として読み、めっき穴に独自の工具拡大量を適用します。この変換は製造会社固有の工程ルールであり、共通の数値ではありません。製造工具径を求められていない限り、一般的なめっき代を自分で加算しないでください。

めっき穴の仕上がり径が小さくなる理由#

多層基板のパネルは、積層後に機械ドリルやレーザーで穴加工されます。洗浄とデスミアを行い、導電性のシード層を形成してから穴壁に銅をめっきします。析出層が増えるほど開口は小さくなります。パネル上の銅の分布が局所的なめっき厚に影響するため、メーカーは一つの厳密な径を約束するのではなく、工程管理と公差範囲で寸法を保証します。

Eurocircuitsの仕上がり穴径公差の説明では、穴の種類、利用できる工具径の刻み、摩耗、デスミア、めっき、銅バランス、表面処理が要因として挙げられています。そのため、製造図面には必要な仕上がり結果を指定し、工具の選択は製造会社に任せるのが適切です。

PCBの一般的な穴径範囲#

すべての製造会社、材料、板厚、サービスに共通する穴径表はありません。試作サービスでは推奨寸法の刻みが設けられ、高度な工程では小径の機械穴やレーザーマイクロビアに対応します。次の範囲は設計検討用の例であり、発注時の公差指定ではありません。

用途検討時の目安設計上の注意
機械加工の貫通ビア仕上がり約0.20~0.40 mm最小工具径とアスペクト比を確認
小型部品のリードリード寸法に実装用の隙間を加える一律の数値ではなく部品図面を参照
ピンヘッダー仕上がり約0.9~1.1 mmがよく使われる角ピンは対角寸法と公差を確認
M2ねじの通し穴用途に応じて2 mmを超える隙間を設定ねじの規格、めっき、位置公差を確認
M3ねじの通し穴用途に応じて3 mmを超える隙間を設定筐体とワッシャーの形状に合わせる
治具・位置決め穴相手側のピンに合わせて設定厳しい位置管理が必要なことが多い

コネクター、締結部品、電子部品の図面にある最大実体寸法を使ってください。「1 mmピン」という公称寸法でも、形状、表面処理、公差によって1 mmを超える穴が必要になります。フローはんだ付けする部品では、挿入の隙間とはんだ充填も考慮します。

部品穴の寸法を決める方法#

丸形リード

部品図面の最大リード径から検討します。部品と基板の公差、挿入角度、表面処理、実装方法に必要な隙間を加えます。小さすぎると挿入困難やリード曲がりが起き、大きすぎるとはんだ充填や機械的な位置保持が難しくなる場合があります。

正方形・長方形のリード

角形リードの対角寸法は辺の長さより大きくなります。最大対角寸法、角の丸み、めっき公差を踏まえて仕上がり穴径を決めます。プレスフィット端子は別扱いで、通常はコネクターメーカーが狭い仕上がり穴径範囲、めっき条件、適合性評価工程を指定します。通常のピンヘッダーの穴を小さくするだけでプレスフィット用に変更してはいけません。

取付金具

機械穴は筐体との公差積み上げに基づいて決めます。ねじ径、表面処理、ワッシャー、ボス、スペーサー、基板の位置公差、組立時の作業空間を考慮してください。金属金具を銅から絶縁する場合は全層に銅禁止領域を設け、必要な沿面距離やシャーシとの接続関係を確認します。

アニュラリングと穴径#

アニュラリングは、穴の周囲に残る銅の環状部分です。CAD上で十分に見えるパッドも、穴位置や層の位置合わせがばらつくと余裕が小さくなることがあります。設計検討時の単純な計算は次のとおりです。

公称の半径方向アニュラリング幅 =(パッド径 − 仕上がり穴径)÷ 2

これは公称形状から求める値にすぎません。最小仕上がりアニュラリングや許容ブレークアウトには、穴加工と位置合わせの公差を含める必要があります。穴を小さくすれば解決するとは限らず、アスペクト比が高くなり、めっきや組み立てを難しくする場合があります。

層構成や位置合わせの能力が異なる場合は、内層と外層のランドを分けて確認します。未接続パッドについては、製造会社が削除してよいか相談してください。高信頼性設計では、CADのルールだけに頼らず、適用する性能・受け入れ要件を指定します。

アスペクト比:穴の深さと直径の比#

機械加工ビアのアスペクト比は、一般に板厚を加工穴径で割った値として扱います。厚い板や小さな穴では比率が高くなり、均一なめっきが難しくなります。限界は製造会社、穴の種類、材料、めっき工程、信頼性クラスによって異なります。

標準能力の上限に近い場合は、ビア径を大きくする、板厚を薄くする、逐次積層を使う、貫通ビアを適合性確認済みのブラインド構造に置き換える、より高度なサービスを選ぶ、といった方法があります。それぞれ費用と信頼性に影響するため、配線を確定する前に層構成を合意してください。

機械ドリル、レーザー加工、ルーター加工#

機械ドリル加工

多くの貫通穴や比較的大きなブラインド・埋め込み穴は、回転する超硬工具で加工します。極小工具は摩耗しやすく、使用できる加工回数を減らす必要があるため費用が増えます。機能を損なわない範囲で穴径の種類を整理し、推奨径を使うとよいでしょう。

レーザーマイクロビア

レーザーは、機械加工の円筒状の穴とは異なる形状の浅いマイクロビアを形成します。直径、深さ、キャプチャーパッド、ターゲットパッド、積み重ね、銅充填、逐次積層をHDI工程全体として合意する必要があります。NCドリル一覧に小さい穴径を一つ追加するだけのものではありません。

長穴と切り抜き

長穴にはドリル、ルーター、打ち抜きなどの工程が使われます。利用できる工具径によって内角の半径が決まります。めっきの有無、仕上がり幅と長さを明記し、ドリル・ルーターデータと機械図面の両方に反映してください。

PTHとNPTHのデータ#

めっき穴と非めっき穴を明確に区別してください。別々のドリルファイルを好むメーカーもあれば、ODB++などの属性情報を使うメーカーもあります。GerberとExcellonを使う場合は、すべての工具をPTH・NPTHに分類し、長穴も識別したドリルマップを添付します。

銅パッドのある非めっき取付穴と、周囲が銅禁止領域のNPTHでは、解釈が異なる場合があります。シャーシ接地、シールド、プレスフィット、機械的絶縁が重要なら、CAMソフトの推測に頼らず、意図した銅との関係を図面に示してください。

ドリルファイルと製造図面のチェックリスト#

  • 単位系とゼロ省略形式を統一し、管理する。
  • めっき穴と非めっき穴を識別する。
  • メーカーから別の指定がない限り、仕上がり穴径を記載する。
  • 機能上必要な箇所に絞って公差を指定する。
  • めっき・非めっき長穴、皿穴、座ぐり、深さ管理穴を明示する。
  • 工具数と仕上がり寸法を記載したドリル表を添付する。
  • 板厚、層構成、ビア構造、銅厚、めっき要件を示す。
  • CAMビューアーでドリルデータと銅、レジスト、外形、機械図面を照合する。

よくあるPCB穴加工のミス#

最大寸法ではなく公称リード寸法を使う

リードと仕上がり穴の公差が不利な方向に重なると、部品を挿入できなくなります。

めっき代を二重に加える

メーカーが仕上がり寸法を想定している場合、CADの穴径を自分で大きくすると、意図より大きな穴になります。

NPTHを区別しない

データが曖昧だと、取付穴にめっきが付いたり、意図した絶縁が得られなかったりします。

不要な厳しい公差を指定する

厳しい公差は、検査、工具選択、工程の費用を増やします。プレスフィットや位置合わせなど、本当に必要な機能に限って使ってください。

内層の銅クリアランスを見落とす

機械的には問題ない穴でも、見えない内層で銅との距離が不足することがあります。層構成全体に禁止領域とアンチパッドを適用してください。

製造しやすい穴仕様を計画する#

電気ビア、部品リード、取付、治具、長穴、特殊加工という機能別に穴を整理します。相手部品や電気的機能から要件を決め、メーカーの推奨径、最小工具径、公差、アニュラリング、アスペクト比の能力と比較しましょう。「すべて最小径にする」というルールで不要な費用が増えるのを防げます。

関連情報として、PCBビアの基礎、スルーホール実装、取付穴の設計、座ぐりと皿穴もご覧ください。製造性の確認を希望する場合は、ドリルファイル、製造図面、層構成、数量をPCBPitへお送りください。

よくあるご質問#

ドリルファイルには仕上がり穴径を記載すべきですか?

多くのメーカーは仕上がり寸法を想定し、製造工具径を自社で計算します。メーカーのルールを確認し、二重加算を防ぐため図面にも寸法の意味を記載してください。

めっき穴はなぜ完成寸法より大きく加工するのですか?

穴壁に銅などが析出して開口が小さくなるためです。製造会社は、仕上がり穴径が公差内に収まるよう大きめの工具を選びます。

PCBで加工できる最小穴径はいくつですか?

共通の最小値はありません。機械・レーザーの違い、板厚、材料、アスペクト比、めっき工程、メーカーの能力によります。選択サービスの最新ルールを使ってください。

取付穴にはめっきが必要ですか?

PTHにもNPTHにもできます。接地、機械要件、絶縁要件に基づいて選び、データと図面に明確に示してください。

部品穴はリードよりどれだけ大きくすればよいですか?

リードの最大外形と実装公差解析に基づいて決めます。必要な隙間は形状、めっき、挿入方法、はんだ付け工程、製品要件によって変わります。