インサーキットテスト(ICT)は、実装済み基板の電気的な接続や部品を検査する方法です。プログラムに従ってプローブを回路の所定の点に接触させ、測定値を規定範囲と比較します。PCBAの製造検査であり、ソフトウェアの構文、インターネット接続、サイバーセキュリティの試験を意味するものではありません。
ICTで検出できる不良#
接触できる測定点や装置の構成に応じて、短絡、断線、受動部品の定数違い、部品欠品、一部の極性・向きの誤りを検査できます。抵抗、静電容量、半導体接合の特性などを測定します。評価対象の部品と、それにつながる別の電流経路を区別できる試験設計が必要です。
合格という結果は、実施した試験の範囲に限られます。抵抗測定に合格しても、RF性能、ファームウェア、温度条件での評価まで合格したことにはなりません。KeysightのICTシステム概要では、部品単位の測定に加え、通電試験やバウンダリスキャンなどの拡張機能を紹介しています。
ICT治具の仕組み#
一般的なベッド・オブ・ネイル式治具は、ばね付きプローブを基板の指定テストポイントに押し当てます。位置決め機構で基板を合わせ、支えでプローブ荷重によるたわみを抑えます。各測定点をテスタにつなぎ、プログラムに従って信号を与え、測定します。
確実な接触は、測定器の設定と同じくらい重要です。プローブの汚れや摩耗、パッド上の障害物、位置ずれによって、正常な基板を不良と判定することがあります。治具の保守記録を残し、接触エラーが繰り返される場合は、判定基準を変更する前に原因を調べてください。
ICTの利点#
- 故障箇所の絞り込み:部品やネットの測定から、修理時に調査すべき回路領域を限定できます。
- 再現性のある生産検査:管理されたプログラムによって、各実装版に対して同じ条件の検査を行えます。
- 早期検出:後工程で組み込む前に実装不良を見つけることで、完成品での余分な故障解析を減らせます。
- 工程へのフィードバック:不良を分類して記録すると、繰り返す搭載、はんだ付け、部品調達の問題を見つけやすくなります。
ICTの制約#
通常の検査を始める前に、治具設計、プログラム作成、デバッグ、保守の費用がかかります。レイアウト変更に伴い、治具やプログラムの改修が必要になる場合もあります。高密度基板では接触できない点があり、並列回路の影響で単体部品を測りにくいこともあります。実際の基板と試験プログラムを確認せず、一律の検出率を保証することはできません。
ICTだけで製品の機能検証をすべて代替することもできません。光学検査は見える実装状態を、X線検査は隠れた接合部を調べます。機能試験は通電した基板を動作要求に照らして評価します。FEINMETALLのICT解説も、部品周辺の検査と実装基板全体の動作試験を区別しています。
設計・製造移行時のチェックリスト#
- 最新の回路図、ネットリスト、BOM、レイアウトデータ、実装版を提示します。
- 接触可能な測定点、パッド形状、位置決め機構、支持位置を治具メーカーと合意します。
- テストパッドを部品、コーティング、機械部品で塞がないようにします。
- 安全な試験電圧、電流制限、必要な電源投入順序を定義します。
- 期待値、公差、根拠のある合否判定範囲を記録します。
- 検出できる不良と、別の検査・試験が必要な不良を確認します。
- 代表的な実装基板でプログラムを検証し、その後の変更を管理します。
- 不合格品の扱い、修理、再試験ルール、トレーサビリティを文書化します。
よくあるご質問#
ICTはベア基板に行いますか?
通常、ICTは実装済み基板の検査を指します。ベア基板の電気検査は、部品を搭載する前に製造された配線の接続状態を確認するものです。
すべてのはんだ不良を検出できますか?
いいえ。検出範囲は測定点への接触、回路構成、試験プログラムに依存します。範囲外の不良には補完する検査を組み合わせます。
ICTで機能試験を省けますか?
いいえ。機能試験は通電状態で要求どおりに動作するかを確認します。ICTは主に、接触可能な接続部や部品単位の電気特性を評価します。
ICTでファームウェアを検証できますか?
書き込みや通電試験を組み合わせた装置もありますが、ファームウェアの検証内容は別途明確に定義する必要があります。すべてのICTプログラムに自動的に含まれるわけではありません。
誤判定の原因は何ですか?
プローブの接触不良、治具の摩耗、不適切なデータや判定範囲、考慮されていない回路経路などです。単に判定範囲を広げるのではなく、原因を特定してください。
フライングプローブ試験とは何が違いますか?
フライングプローブは、専用の多点接触治具ではなく、プローブを測定点間で移動させます。対象基板に対して、接触性、検査時間、数量、設計変更の頻度を比較します。
テストポイントはいつ計画すべきですか?
基板の設計確定前、レイアウト段階で計画します。配線完了後に追加しようとすると、大幅な設計変更が必要になる場合があります。
見積もりには何を含めるべきですか?
治具とプログラムの費用、検査範囲、想定サイクルタイム、保守条件、設計変更時の扱いを確認します。見積もり同士は同じ前提で比較してください。
実装と一緒に試験を計画する#
検査方式の比較には基板検査ガイドをご利用ください。個別案件は、基板データと試験要件をPCBPitの問い合わせフォームからお送りいただければ、実装と試験の範囲をまとめて確認できます。