PCBの銅重量は、単位面積当たりの銅の質量を表します。北米の製造表記で1oz銅は1平方フィート当たり1オンスを意味し、公称箔厚は約35µmです。0.5oz、1oz、2ozや厚銅を使い分け、電流、熱拡散、微細加工、インピーダンス、コストを調整します。
この数値が各配線の最終実測厚そのものとは限りません。外層はベース箔にスルーホールめっきで銅が追加される場合があり、内層は通常、元の箔を露光・エッチングします。図面ではベース銅と仕上がり銅を区別します。
銅重量と厚みの換算表#
| 公称銅重量 | おおよその公称厚 | 主な設計用途 |
|---|---|---|
| 0.5 oz/ft² | 17~18µm(0.0007インチ) | 微細パターン、一部の多層内層 |
| 1 oz/ft² | 34~35µm(0.0014インチ) | 一般的な回路 |
| 2 oz/ft² | 68~70µm(0.0028インチ) | 大きな電流と熱拡散の改善 |
| 3 oz/ft² | 約105µm(0.0041インチ) | 電源分配と厚銅設計 |
| 4 oz/ft² | 約140µm(0.0055インチ) | 特殊な大電流構造 |
換算の目安であり、仕上がり保証値ではありません。銅箔公差、エッチング、めっきで導体寸法は変わります。IPC-2152は銅重量を面積当たり質量とし、導体厚を金属被膜も含む仕上がり厚として扱います。公式の目次と適用範囲でも、電流容量を仕上がり導体寸法と許容温度上昇から扱っています。
ベース銅と仕上がり銅#
ベース銅はパターンめっきと最終エッチング前の銅箔または析出銅です。仕上がり銅は製造後の導体厚です。内層では近い値になり得ますが、めっき外層では異なります。
スルーホール基板では薄い外層箔から始め、回路を形成して露出配線と穴壁へ電気銅めっきする場合があります。「2oz銅」だけでは、元の箔、仕上がり厚、メーカー標準構造のいずれを指すか曖昧です。必要な最終要求を書き、管理可能な初期構成をメーカーに提案してもらいます。
仕上がり厚は完全に均一ではありません。電流分布、パネル位置、パターン密度、銅バランスがめっきに影響します。全点で厳密に同じ値を求めるより、最小仕上がり厚と許容公差を定める方が実用的です。
外層と内層の銅#
内層は積層前にパターン形成・エッチングされ、通常は後のスルーホールめっきで厚くなりません。外層には穴壁めっき時に銅が追加されます。そのため内層1ozと、別の外層仕上がり要求を組み合わせることがあります。
層構成表に銅情報を記載します。各層の銅種、開始厚か仕上がり厚か、単位、公差を明示し、完成板厚は別に指定します。銅、コア、プリプレグの関係はPCB板厚ガイドを参照してください。
電流容量への影響#
厚い、または幅広い導体は直流抵抗が低く、同じ温度上昇なら一般に大きな電流を流せます。ただし「1oz当たり何A」という普遍則はありません。仕上がり幅と厚み、銅面積、温度上昇、周囲条件、基板構造、近接面、デューティ比、冷却が関係します。
IPCは電流容量の規格としてPCB設計規格群にIPC-2152を挙げています。製品に合う解析を行い、重要電力経路は試作や温度測定で検証します。ヒューズ動作、コネクタ定格、ビア群、はんだ接合も確認し、太い配線で容量不足の端子を補えると思わないでください。
抵抗と電圧降下#
均一な銅配線の抵抗は次で表せます。
R = ρL ÷ (W × T)
ρは対象温度での銅の抵抗率、Lは長さ、Wは仕上がり幅、Tは仕上がり厚です。他条件が同じなら厚みを倍にすると抵抗はおよそ半分になります。ただし実配線には狭窄、パッド、ビア、サーマルスポークがあり、抵抗率も温度で変わるため経路全体をモデル化します。
大電流プレーンでは切欠きやコネクタパッド周辺の狭い部分を確認します。並列層に電流が予測どおり分かれるには、接続と形状のバランスが必要です。
銅厚と熱拡散#
銅を増やすと面内の熱拡散と電気損失低減に役立ちますが、それだけで放熱経路は完成しません。熱は誘電体を越えてヒートシンク、筐体、気流などへ逃がす必要があります。プレーン面積、基材、部品取付、熱界面が銅重量以上に重要な場合もあります。
発熱部品には銅面積と適切なサーマルビア群などの認定構造を組み合わせます。はんだボイドとパッケージ限度も実装評価に含めます。
厚銅でパターン寸法が大きくなる理由#
エッチングは深さ方向だけでなく横にも銅を除去します。厚くなるほど微細な線幅・間隔を維持しにくく、広い配線、クリアランス、版補正、別の工程が必要になります。高密度BGAと大電流部分は相反する要求を持つことがあります。
微細部分を薄銅にし、別層へ電源を配る方法や、メーカー承認の混成・選択的構造が考えられます。1ozの最小線幅・間隔を3ozや4ozにもそのまま使えるとは限りません。
厚銅PCBとは?#
「厚銅」は業界用語で、共通の境界値はありません。3oz以上をそう呼ぶメーカーが多いものの、定義と対応範囲は異なります。名称ではなく各層の数値要求に置き換えてください。
厚銅基板は電力変換、バッテリ、車載制御、産業ドライブ、大電流分配などに使えます。一方、めっき、エッチング、積層、樹脂充填に特別な管理が必要な場合があります。厚いパターンはプリプレグの流動に影響し、平坦度や絶縁間隔を変える可能性があります。
銅厚とインピーダンス制御#
インピーダンスは幅だけでなく、仕上がり導体厚、誘電体厚、誘電率、基準面形状で決まります。厚銅では断面とエッチング形状の影響が大きく、厚みゼロや公称箔厚を仮定する計算では実構造を捉えられないことがあります。
目標値、公差、層構成、クーポン要求を伝え、メーカーに生産構造をモデル化してもらいます。インピーダンス調整が必要なら、線幅と誘電体厚を独立に固定しないようにします。
めっき穴・ビアの銅#
表面銅重量だけではビア穴壁銅を指定できません。穴壁には独自の工程と受入要求があります。信頼性は厚み、アスペクト比、材料膨張、穴処理、熱サイクルに依存します。「2oz基板」から特定の穴壁厚を推測せず、適用性能規格とめっき要求を明記します。
細い穴や高アスペクト比ではめっき分布の管理が難しくなります。PCBドリル径ガイドを使って銅と穴を合わせて検討してください。
1ozと2ozの選び方#
| 設計の優先事項 | 1ozが適することが多い場合 | 2ozが適することが多い場合 |
|---|---|---|
| 一般ロジック・信号 | 一般的で経済的な基準 | 電力・熱要求がなければ通常不要 |
| 微細線幅・間隔 | エッチングしやすい | 設計ルールを広げる場合がある |
| 電源分配 | 十分な幅と熱余裕で対応 | 面積制約の中で抵抗を下げる |
| コスト・調達 | 広く標準対応 | 高コストで層構成により対応が変わる |
| 板厚への影響 | 銅による増分が小さい | 多層全体で板厚が増える |
慣習ではなく計算で選びます。広い1ozプレーンが細い2oz配線より有利なことがあり、全層を厚くするよりレイアウト変更が安価な場合もあります。
製造図面チェックリスト#
- すべての信号層・プレーンを順番に示す。
- 開始銅厚か仕上がり銅厚か明示する。
- oz/ft²、µm、または両方の明確な単位を使う。
- 機能上必要な最小仕上がり厚と公差を定める。
- 穴壁銅を別に指定する。
- 完成板厚と絶縁層要求を含める。
- インピーダンス制御層とクーポンを指定する。
- 選んだ厚みに対する線幅、間隔、アニュラリング、端面距離を合意する。
- レイアウト確定前に製造用層構成の承認を行う。
よくある銅重量の誤解#
1ozならどこも正確に35µmだと思う
質量から厚みへの公称換算です。箔、エッチング、めっき公差でばらつきます。
解析せず全層を同じ銅厚にする
信号層には微細加工しやすい薄銅、電源層には大きな断面が適する場合があります。
外層の仕上がりめっきを無視する
元の箔とめっき銅が最終形状、インピーダンス、間隔を決めます。
狭窄を直さず銅だけ厚くする
ビア、細い部分、サーマルスポーク、コネクタが電流と温度を制限する場合があります。
数値なしで厚銅を注文する
定義はメーカー次第です。各層の数値を指定します。
実務での選定手順#
仕上がり形状から電流、電圧降下、温度上昇を計算します。各層の電力、信号、インピーダンス、熱要求を分け、メーカーへ標準層構成と厚銅ルールを確認します。線幅、間隔、ビア、誘電体厚を一緒に調整し、最後に試作で最悪動作条件を測定します。
析出銅と表面処理はPCBめっきガイドを参照してください。製造性レビューには層構成、電流一覧、Gerber、製造図面をPCBPitへ送付できます。
よくあるご質問#
1oz銅は何µmですか?
公称では約34~35µm、0.0014インチです。仕上がり厚は箔公差、エッチング、めっきで変わります。
2oz銅はどのくらいですか?
公称換算で約68~70µm、0.0028インチです。元の箔か仕上がりかを確認してください。
2ozなら1ozの2倍の電流が流せますか?
一般則ではありません。同じ形状なら抵抗は減りますが、許容電流は幅、温度上昇、環境、構造、冷却で決まります。
銅は厚いほどよいですか?
いいえ。電流や熱拡散には有利でも、微細加工、インピーダンス、板厚、コストへの影響があります。
何ozから厚銅ですか?
定義は異なり、3oz程度からとする例が多いですが、注文図面には数値で指定してください。